ところで、身長と体重から算出する肥満度を表すBMIという体格指数があります。

「Body Mass Index:ボディ・マス指数」の略です。計算方法は、BMI=体重(㎏)÷身長(m) ÷身長(m)。たとえば体重が60㎏で身長が170㎝(=1.7m)の人のBMIは「60÷1.7÷1.7=20.76」となります。ただしこのBMIは、単に低ければ良いとか、高いからダメだという数値ではありません。BMIが「22」になる体重が望ましく最も病気になりにくいとされ、「25」を超えると生活習慣病のリスクが高まります。

 一方で、40歳を過ぎて低体重の人は、寿命が短くなる傾向があります。

 祖父を思い出したところで、私自身のエピソードに少々おつきあいください。

 そもそも、なぜ、老化に興味を持ったのか。そのきっかけをお話ししたいと思います。

 子どもの頃から植物、動物に関係なく、生き物の多様性に惹かれていました。高校時代は友人と共にテレビゲームをしアニメを見ながら、リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』(日高敏隆、岸由二、羽田節子、垂水雄二訳/紀伊國屋書店/1991年)を読み耽ふけるような日々でした。

老化の謎との出会い

世界の5大長寿地域・沖縄の秘訣は塩分と糖分だった【エイジング革命】『エイジング革命 250歳まで人が生きる日』
早野 元詞 (著)
定価924円
(朝日新聞出版)

「生命とは一体何なのか?」

 今も変わらず、それは最大の関心事です。

 大学に入学した頃、自主学習と呼ばれる学生数名のチームで課題を見つけてまとめる履修があり、「老化」を選択しました。大学の図書館で老化についての日本語の総説を読むうちに、京都大学の鍋島陽一先生による「クロトー(Klotho)」と呼ばれるタンパク質についての論説に出会います。クロトーはまさしく老化や健康に影響するタンパク質で、それによって老化が加速するとも書かれてありました。

 老化が加速するって、一体どういうことだ?

 思えばそれが、「老化の謎」との出会いでした。

早野元詞
(はやの・もとし)/1982年、熊本県生まれ。慶應義塾大学医学部整形外科学教室特任講師。老化、エピジェネティクスが専門。2005年、熊本大学理学部卒業。2011年、東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカルゲノム専攻にて博士号(生命科学)取得。2013年より米ハーバード大学医学大学院に留学し、同大学院フェロー及びヒューマンフロンティアサイエンスプログラムフェローを経て、2017年より慶應義塾大学医学部眼科学教室特任講師に着任。同大学理工学部システムデザイン工学科および医学部精神・神経学教室特任講師を経て、2023年4月より現職。

AERA dot.より転載