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「それだけならまだしも、集合住宅のほかの入居者にも見える場所に、紙に真っ赤なマジックで殴り書きした暴言を貼られたこともありました。何回引っ越しをしても同じようなことが続き、本当に怖かったです」

「そのうちトラック1台分ぐらいダンボールの荷物が届くようになりました。中を開けると使い古した歯ブラシなどの生活ゴミがぎっしり詰まっていて、全部中身を見ないで捨てようと思ったら、その中には母の思い出の品物、手紙や母子手帳が紛れ込んでいたので、捨てることも受け取り拒否もできず、ゴミの仕分けを嫌々しました。全部のゴミを処分するまで階段の踊り場に置かせてもらいました」

 マンションの隣人に頭を下げながら、毎日マスクをしてカビ臭いゴミを仕分けする作業に明け暮れた。ただ、「殴られる、蹴られる」といった身体的な暴力を受けていなかったので、これら一連の行為は暴力(DV)で、父親が「毒親」であるとすぐには認識できなかった。

絶縁を希望したYさんを
絶望させた弁護士の言葉

 そんなある日、父親から一通の書類が届いた。それは「実家の所有権を買い取れ。捺印をして返信しろ」という一方的な内容だった。しかも、Yさんの銀行口座から父が勝手に預金を引き出していたこともわかった。

「なぜ、父と共有という形で、私が実家を買い取らなければならないのか。しかも、周辺の相場よりも高い金額だったので、あまりの理不尽さにおかしいと思って、親から離れる方法はないかと初めて弁護士に相談しました」

 ところがその弁護士からは想定外の答えが返ってきた。