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「親と縁を切る方法は日本にはありません」

 なすすべがないと絶望に打ちひしがれた。それでも「父との縁を切りたい」という気持ちが揺らぐことはなかった。

「父は外では信じられないほど評判がよく、後に別の弁護士に相談したときも、『お父さんと話をしましたけれども、ごく普通の人って感じでしたよ』と言うように、他者からは紳士的に見えたようです。

 でも、私に送った手紙や数々の嫌がらせはDVの証拠になりました。毒親は家族だけ、あるいは子どもだけに見せる凶暴な『顔』があります。親の暴力やハラスメントを病気のせいだ、自分のせいだと思わないで、専門家に相談することをお勧めします」

 手続きの過程で「自分は被害者だ」という事実を第三者に説明しなければならないので、被害の証明を求められることもある。思い出すだけでもつらい被害を第三者に伝えるというのは難しい。

「当事者には想像以上にストレスがかかりますが、自分を守るためと思い、証拠は集めておくと手続きはスムーズに行きます」

 主な証拠は、医療機関の受診歴・診断書、暴力の録画・録音、LINEなどSNSやメールでのやりとり、被害の記録などがあてはまる。証拠はなくても専門機関に相談すればDVだと認定され支援の対象になることもあるので、「証拠がないからダメなのか」と、あきらめてはいけない。

 親を捨てるための一歩は、毒親に気づくこと。「おかしい」と思ったら見過ごされないで記録することから始めたい。

次回記事は7月24日(水)17時公開予定です。特集「親を捨てる」をフォローすると最新記事がメールで届くので、読み逃しがなくなります。連載のフォローには無料会員登録が必要です。
「毒親」に気づくためのチェックポイント
 ・加害は物理的な暴力だけでなく、食事を与えないなどの行為も「身体的虐待」にあたる
 ・物を壊すだけでなく、汚す、本人に無断で捨てるなどの行為は「器物損壊罪」が成立する
 ・ネグレクトは行動を極端に制限する行為もあてはまる
 ・悪評を吹聴すれば「名誉毀損罪」が成立する
 ・加害の告知をすれば「脅迫罪」が成立しうる
 ・親のつきまといもストーカーとして刑事罰の対象となりうる
毒親絶縁の手引き DV・虐待・ストーカーから逃れて生きるための制度と法律』(紅龍堂書店)より抜粋
警察 緊急ダイヤル 110 
(命にかかわる暴力を振るわれたら迷わず連絡を)
警察相談専用電話 ♯9110 平日8時30分〜17時15分
(通話料はかかるが相談内容によって専門性の高い機関を紹介してくれる)
DV相談+(プラス)0120―279―889
(内閣府が実施しているサービスで24時間の電話相談のほか、メールやSNSによる相談も可能)
DV相談ナビ ♯8008
(内閣府が実施しているサービスで発信地等の情報から最寄りの相談窓口に電話が転送される。24時間対応・通話料有料)
日本司法支援センター法テラス 無料法律相談
https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/goriyounonagare.html
(弁護士と司法書士との無料法律相談を行っている)