お金を増やすだけではない、「いい会社」への投資

そもそも会社は何のために存在するか

 どんな行動にも目的と手段と結果がある。そして、そのなかで最も大切なことは目的であって、仮に手段(やり方)がうまくいって結果が出たとしても、目的なき結果によって、関わる人の幸福が長く続くことはない。

 ときどき日本を代表する大手会社の幹部の方々を前に講話をする機会がある。皆さん大変有能で事業戦略などには詳しいのだが、「皆様は誰のために、何のために業績を高めなければならないと考えますか」「あなた自身は、一人の人間として、会社の事業を通じて何を成し遂げたいと思っていますか」と問うと、明確な回答は返ってこない。目的なき手段のなかで悩み苦しむ企業人はとても多いのだ。

 会社の存在目的は、利益を上げることでも株価を上げることでもない。「会社に関わるすべての人の幸福の追求」だと僕は考える。とりわけ社会的影響力の大きな大会社や上場会社は、その責任を担う主役である。

 そうした会社に投資をする株主もまた、会社が社会を幸福にするための取り組みをサポートし、その存在感を高める役割を果たす存在だ。投資のリターンは、事業の発展に貢献した結果として、利益の一部が還元されるものだからだ。

 社会に貢献しようと努力している会社が本来果たすべき役割を、ときに厳しくサポートすることが「社会をよくする投資」といえるのではないだろうか。