「いい会社」を見る3つの視点

 僕は、鎌倉投信を創業してからずっと「いい会社」とは何かを問い続け、見続けてきた。そのなかで、「いい会社」を見る大切な視点が3つある。鎌倉投信では、それをわかりやすく「人」「共生」「匠(たくみ)」と表現している(下図参照)。

(1)人:会社の事業を担う社員を大切にしているかどうか
「人」とは、人材を生かせる会社かどうかである。社員個人の尊重、企業文化、経営姿勢などから醸(かも)し出される会社の雰囲気の中に、会社の存在目的である「ありたい姿」、言葉を換えると「わが社は何屋か」が明確であるかどうかである。

(2)共生:誰とともに社会に価値を提供しようとしているか
「共生」とは、多くの人とともに持続的な社会をつくっていくという視点から、顧客、取引先、地域社会、自然環境などとよい関係を築いているか否かである。そこには、個社を超えた他者との共感があるはずである。

(3)匠:他社にはない独自の強み、差別性があるかどうか
 さらに「匠」は、それを「どのように実現するか」という観点から、商品・サービスの優位性や独自性、市場性や収益性、変化への対応力や革新性に強みを有するかどうかである。

 3つの観点「人」「共生」「匠」は、相互に深く関係するもので切り離すことはできない。そして、会社の本気度は、相互のつながりを深くする。深ければ深いほど会社の発展性と持続力は高まり、社会に影響力を持ち続ける。これが鎌倉投信の考える「いい会社」が持つ資質であり、いずれも経済的価値やESG投資など画一的な指標では測ることができない。