教科書通りの英語表現をそのまま使うと、ネイティブに違和感を与えてしまうケースも多々ある。そこで、日常でよく使う「ごちそうさま」「お疲れさま」といった定番の挨拶から、くしゃみなどをした時の声かけとそのリアクションの取り方まで、具体的な会話例を交えてリアルな表現を学んでいこう。※本稿は、キャサリン・A・クラフト著、里中哲彦訳『ネイティブにスッと伝わる 英語表現の言い換え700』(青春出版社)の一部を抜粋・編集したものです。
作ってくれた人に感謝する
ネイティブの「ごちそうさま」
食事を食べ終えると、日本人は口々に「ごちそうさま」と言います。つくってくれた人に「おいしかったよ」と感謝の気持ちを添えることもあります。
さて、『ジーニアス和英辞典』(初版)では、「ごちそうさま」を“I’ve had enough.”としていましたが、これは「もうたくさんだ」であって、けっして「ごちそうさま」というニュアンスを伝えるものではありません(のちに修正されました)。
◆A:Would you like some more pasta?
(パスタをもう少しどう?)
B:No,thank you. I’m completely full.
(いいえ、けっこうです。もうお腹がいっぱいです)
満足した表情を浮かべて、〈I’m completely full.〉と言ってみましょう。
◆I can’t eat anymore. Thank you.
(もう食べられません。ありがとう)
◆I’m stuffed. Thank you so much.
(もうお腹いっぱいです。ありがとうございました)
このように言ってもいいのですが、かならず感謝の言葉を添えましょう。そうすれば、「ごちそうさまでした」のニュアンスを伝えることができます。
では、英語国民は、食事を終えると、何と言っているのでしょうか。ふつう、自分の家ではいっさい何も言いません。食べて、それでおしまい。それで席を立ってしまう。つくってくれた人に感謝の言葉を投げかけることもありません。味もそっけもないとはまさにこのことです。
子どもは、次のように言って親の許可を得ようとします。
◆I’m done. Can I go please?
(終わった。もう行っていい?)
丁寧な子どもは、
◆May I be excused?
(もう席を立ってもいい?)
と言います。
しかし、よその家に招かれて、料理をふるまってくれた人にはきちんと感謝の言葉を述べます。
◆Everything was delicious.
(どれもたいへんおいしかったです)
◆That was a wonderful dinner.
(素晴らしいディナーでした)
◆I enjoyed the meal very much.
(おいしい食事でした)
◆Thank you for the wonderful meal.
(おいしい食事をありがとうございました)