住み替え・リフォーム・老人ホーム 終の住み家の選び方#3Photo:PIXTA

住宅は、残す側にも、残される側にも頭の痛い問題。リノベーション(改修)で再販される中古住宅が増えたが、そこでも「商品性向上対策」が不可欠だ。特集『終の住み家の選び方』(全21回)の#3では、売れる家にするためのリフォームのポイントを解説する。そして、中古住宅の流通を根本から変えかねない制度改正が1年後に迫っていることにも注意しよう。(ライター 船木春仁)

 最近は、「親は親、子は子」と別々に自宅を構えるケースが多くなり、誰もが住宅の最終処分の当事者になり、対策を練らねばならないようになった。一方で、処分されていない家、つまり空き家は増え続けている。総務省調べでは日本には6502万戸の住宅があるが、空き家戸数はこの5年間で51万戸も増えて900万戸を超えた。

 こうした社会状況を背景にして市場を拡大しているのが不動産の買い取り・再販ビジネスだ。「リフォーム産業新聞」の調べでは、不動産の買い取り・再販で首位のカチタスとグループ会社のリプライスは、2023年度に両社合わせて6927件を販売。前年に比べて1000件近く増やした。ちなみに、この調査で不動産の買い取り・再販の上位20社だけで販売戸数は約2万1394件、マンションの買い取り・再販では同じく上位20社で1万3190件あり、記録を更新し続けている。

 単純な仲介ではなく、不動産業者が物件を買い取り、改修を加えて販売する「リノベーション再販」は、もはや住宅処分の主役ともいえるほどの活況を呈している。それだけに家主側からすれば「高く売れる」、不動産事業者側からすれば「魅力ある」物件とはどのようなものかという「処分住宅の商品性」がポイントになる。

 次ページでは、処分できる商品性の高い住宅の条件を探ると共に、1年後に迫っている中古住宅の流通を根本から変えかねない制度改正について述べていく。対応を誤ると二束三文でも売れなくなる可能性がある。