走りは電動車ならではのモダンな味わい
FOURは安定性とハンドリングも高水準

 走りは相変わらずハイレベル。日産独自のe-POWERは発電専用の1.2L直3DOHC12V(82ps/103Nm)とモーター(フロント116ps/280Nm/リア68ps/100Nm)の組み合わせ。FOURシステムは、走行状況に応じて前後輪の駆動力を細かく制御。雪道など滑りやすい路面はもちろん、通常の走行シーンでも走りの安定感を高めるのが魅力ポイント。価格はFF車比で28万1600円高価だが、選ぶ価値がある機構である。

 パフォーマンスはなかなか優秀。電動車らしい滑らかさと力強さが印象的だ。加速は力強く、右足の踏み込みにリニアな反応を示す。市街地でのスムーズな印象はライバルを大きく凌ぐ。発電用エンジンは脇役に徹し、始動してもさほど気にならない。メカニズム面のリファインは公表されていないが、システムの完成度がアップしているように感じた。この静粛性と力強さは、ノートの大きな魅力である。

 ただし高速道路に舞台を移すと、印象がやや変わる。ハイスピード領域では、もう少しパワーがほしくなる。周囲の流れに乗っている分にはさほど不満はないが、制限速度110~120km/hのゾーンでは余裕の少なさを実感する。エンジンが頻繁に始動しノイジーになるのもマイナス点。高速道路を日常的に利用するなら、モーター出力がひと回りパワフルなオーラを選んだほうがいいかもしれない。

 もっとも、高速道路で“モアパワー”と感じたのは、スタビリティが非常に高いことも影響している。後輪も駆動するFOURシステムの直進安定性は模範的。ハイパワーに対応するシャシーであることをドライバーに実感させる。

 ワインディングロードでの操縦性も見事だ。4輪がしっかりと路面を捉え、心地よいアップテンポなドライブが楽しめた。ブレーキング時の安心感も印象的。まさに意のままに振り回せる。時には走る目的だけに、連れ出したいと感じた。