精鋭『silent』チームに
やきもきさせられる中年男性視聴者
『海のはじまり』の製作陣は、監督・風間太樹、脚本・生方美久、プロデュース・村瀬健の“『silent』チーム”である。『silent』は2022年放送のテレビドラマで、賞の獲得や記録の樹立など、数々の輝かしい成果を残した作品であった。
『海のはじまり』の主演は、Snow Manの目黒蓮さんである。芸能事情に疎い筆者は恥ずかしながら存じ上げなかったが、演技力にも定評があって、身の周りで確認できたところで30~40代の女性がこぞって「目黒くん」と、ハートがついていそうな“くん”付けをしたり、もっと進んでいる人は愛称の「めめ」を用いていた(用例「めめかっこいい」)。それらのことから目黒さんのカリスマ度がおのずと推測された次第である。
ストーリーは、ネタバレしたくないので公式サイトの「イントロダクション」の部分に書かれている範囲にのみ触れることにするが、主人公が亡くなった元カノのお葬式に行くと、そこに小さい女の子がいて、別れを告げてきた元カノが密かに独りで産んで育てていた自分との間の子が、実はその女の子だったと知らされる……というものである。
以下は第1話視聴後の男性視聴者の声である。
「主人公の境遇は、ほぼすべての男性がなりえるもの。“完全に他人事”とはできないので、自然と感情移入してしまう」
「このドラマは自分が若かった頃の至らなさを突きつけられているようで、見ていてしんどい。でも見届けなくてはならない気もしている」
「『望んでいないタイミングで父親になる』という状況を、男性なら一度は漠然とでも想像したことがあるか、あるいはその状況かそれに近い状況に身の覚えがあるはず。普遍性を持ち得るテーマなので多くの人に見てほしい」