モヤモヤ箇所もストーリーを
多角的に捉えるきっかけに

 なお、私がテレビドラマの視聴に慣れていないことと関係していると思うが、「6歳の子なら親の死をもっと理解し、絶望するのではないか」という細かい点を気にしてしまいそうになる自分を発見した。

 おそらくそこに固執してしまうと大筋を味わうことができず、またテーマを充分に咀嚼できない可能性があるので、意識的に気にしないようにしたが、やはりどこかに引っかかってしまう人は引っかかってしまうだろうし、それでドラマが楽しめなくなってしまうのであれば、単純にそのドラマと相性が悪かったか、「ご縁がなかった」というだけのことであろう。

 「親の死を理解しない6歳」は十二分にありえるし、個人差も大きい。その設定からどのような物語が紡ぎ出されるかを見守ることの方が、少なくとも私にとってはこのドラマにおいて肝要であった。

 そのほか、話の展開としてちょっと悶々とする部分もあった(責任を果たす覚悟を匂わせていた主人公が悪者っぽく扱われそうになっていた点など)のだが、その悶々こそがストーリーを多角的に捉えるヒントとなるだろうとも感じた(でも元カノサイドから見たら主人公がそう映っても仕方ないし、責任を果たす覚悟云々以前に主人公は「性行為を行った」という点において責任が生じているよな……など)。

 視聴中に生まれるこうしたいくつもの視聴者としての感情が、ストーリー展開とともにどのように変化していくのかが楽しみである。

 最近はテレビ番組を見逃しても、TVerというオンデマンドのアプリ・サイトを使えば無料で何不自由なく見ることができる。筆者と同世代以上で興味を持たれた方は、ぜひ視聴を通じて獲得するであろうこの葛藤を共有してほしいところである。