カギを握る3人の女性たち
「えっ、そこ?」なメッセージ

 第1話で話の軸になる女性は3人登場する。主人公の今の彼女、亡くなった元カノ、そして元カノのお母さんである。それぞれに立場や考えがあって、思いやりとエゴとの間で揺れてとても人間らしい。それぞれの役を通して、女性のあり方が多角的に表現されているように思う。どの女性の立場に寄って物語を眺めるかでも、だいぶ感想が変わりそうである。

 また、男性視聴者との対比も面白い。自然、自分の性に依拠した観点でドラマに接しているようである。

 私も視聴し、ものすごく感情移入させられたのだが、目線は完全に子どもサイドである。主人公と元カノの間にできていた女の子が「6歳、来年小学校」というのだが、これが我が娘と完全に一致し、もはや他人事でないどころか我が事こととして捉えられた。

 ひたすら「この子のお母さんが亡くなったなんて……」と胸が締め付けられていて、おそらく本ドラマで本筋に据えたいところから少しずれているのだが、これもこのドラマのひとつの見守り方なのであろう。

 ちなみに脚本の生方美久さんは、取材に答える形で、本作を通して明確に伝えたいことは「がん検診に行ってほしいということ」と「避妊具の避妊率は100%ではないということ」としている。

 第1話を視聴後にそう聞くと「えっ、本当のそれが一番伝えたかったの?」と感じてしまうが、記事を読めば、確かにそれもありつつ、それに加えていくつもの思いが脚本に込められているらしきことが伝わってくる。

【参考】GINGER 〈特別取材〉目黒蓮・主演「海のはじまり」の脚本家・生方
美久が今作で‟伝えたいこと”はふたつ
https://gingerweb.jp/timeless/person/article/20240627-interview-16