米著名投資家のケン・フィッシャー氏が、テックに類似するホットなセクターと見るのが「コミュニケーション・サービス」だ。だが、ここにはディフェンシブな電気通信企業から、先進的なテック系企業などが入り混じり、内実をつぶさに見る必要がある。その理由や日本市場の特殊性、今後の展望まで一挙にお届けする。
認知度が低く誤解も多い
コミュニケーション株とは
今年はテック株が急上昇しているが、そのすぐ後には認知度が低く、誤解も多い「コミュニケーション・サービス」セクターが続き――日本以外の世界株式を後押ししている。
一体このセクターをどう捉えればよいのか、今後も急騰を続ける可能性はあるのか?その答えは、イエスでありノーでもある。グロース特性を持つテック系の類似企業と、古風な電気通信企業との妙な組み合わせが、分岐してきた産業の変遷を物語るからだ。以下、どういうことか説明しよう。
まず、比較的新しい領域だ。かつては電気通信セクターのみだった――NTTのように従来ディフェンシブで規制が多く、低成長。そうした企業は安定収益、高配当、低ボラティリティーが特徴で――景気の影響を受けにくい。
従って、2000年以来、14回あった広範な市場調整や弱気相場のうち、11回で電気通信株は世界株を牽引した。だが、好守は拙攻を意味した:14回の上昇局面のうち10回で出遅れた。22年の底値以降も同様:電気通信株が46.5%上昇した一方、世界株は81.8%高騰した。大幅な出遅れだ!
そして18年、指数プロバイダーのS&PとMSCIが、複数のテック類似の巨大企業とディフェンシブな電気通信企業をまとめ、新たに「コミュニケーション・サービス」セクター(以下「コミュニケーションセクター」)を作った。これによって、全てが変わった。なぜか。