最新“12気筒”は伝統と革新を融合
圧倒的に美しく、そして速い

 マラネッロのデザインセンターで実車をチェックする。そのスタイリングはヘリテージとモダンを見事にミックスしていた。中でもフロントノーズは1970年代の名車、デイトナのモダナイズにも見える。中央のブラックアウトされた部分はプレキシグラスモデルと似るし、デイタイムライトとして機能するライト下のフラップはその昔の分割バンパーに見えてくる。

 フロントフェンダーからリアエンドへと至るダブルキャラクターライン、ルーフからリアに向かっての柔らかな造形もデイトナを彷彿させる。グラマラスなリアフェンダーは275GTBのようだ。ちなみにフロントフードはプロサングエと同様のコファンゴスタイル、前ヒンジ開きだ。

 真横からの眺めも印象的だった。ホイールベースは短く、ふくよかなリアフェンダーと尖ったロングノーズが恐ろしいほど強調されている。小さなキャビンはかなり後方に位置し、リアフェンダーに載っかっているかのよう。そしてノーズの低さはV12エンジンがフロントミッドに収まっているとは、とても思えない。

 12チリンドリ・クーペで際立って個性的なのは、リアセクションである。デザインチームが“デルタウイングシェイプ”と呼ぶユニークでウルトラモダンなモチーフが使われた。