ルーフからリアエンドにかけてブラック→ボディカラー→ブラックと大胆に3分割されている。ガラスルーフもしくはカーボンファイバーパネルとサイドウィンドウが最初の黒いエリア。2つ目の黒いエリアはリアウィンドウとリッド、そして新たな空力アイテムとして採用された左右のエアロフラップである。この黒いエリアの間をリアフェンダーからピラー、ルーフの一部へと続くボディ同色エリアが“前進する矢印”のように区切っている。
一方、812GTSとまったく同じ開閉式電動ハードルーフパネル(14秒で開閉、45km/h以下で操作可能)を使ったスパイダーは、この独特なモチーフが若干弱まって見える。その代わり往年のロードスタースタイルを得て素直にかっこいい。
クーペのデリバリーは2024年末、
スパイダーは2025年初頭から
個性的なエクステリアは空力性能を可能な限り高めた結果だ。左右のリアフラップはダウンフォースが積極的に必要とされる速度域(40~300km/h)において加速度に応じ、自動的に作動する。
インテリアもまたユニークでモダンだ。ローマ、プロサングエとデュアルコクピットスタイルを採用してきたが、そのコンセプトが12チリンドリで極まった。ほぼシンメトリーなコクーンが2つ並び、デルタウイング形状をしたフローティング風のブリッジがその間を繋ぐ。なるほどこれは“選ばれし者たち”(for the Few)のコクピットである。ローマやプロサングエといったGTモデルと、296やSF90といったスポーツモデルの中間に位置する12チリンドリ。クーペのデリバリーは2024年末、スパイダーは2025年初頭から始まる。
(CAR and DRIVER編集部 報告/西川 淳 写真/Ferrari)