逆境は敵ではなく
あなたの味方

 でも、この穴が埋まった瞬間をいまでもはっきり覚えています。留学に行こう、と決めた瞬間です。つまり、次に登る山が決まった瞬間だったんです。

 講演活動で同じ話を年間120回ほどして回るという毎日を何年もしていて、やりがいはあれど、どこかで「挑戦」や「成長」に飢えていたんですね。特に、大学時代に大きな山を乗り越えた成功体験がある私は、まあまあ大きい山でないと自分のユーダイモニック・ウェルビーイングを埋められないようになっていたんだと思います。

 まだ「留学する」という目標達成をしていないあの時点でもうすでにその穴が埋まった感覚があったのだから、実際に大学院合格を勝ち取り、2年間米国での勉強を終えて修士号を取得して日本に帰ってきた今の私は、ものすごい自己実現と自己成長を経て、幸福度が高くなっているのを感じます。

 つまり、なにが言いたいかというと、「ちょっと難しいことに挑戦する」ことや「逆境を乗り越える」ということは、ものすごい幸福感を味わうためには必要なことなのです。だから、逆境は味方にしようとするまでもなく、逆境はいつだって、もうすでにあなたの味方なんですね。

「商業高校から早稲田に進学したい…リスクが大きすぎますか?」
“プロセス重視”で想像してみよう

 そしてもうひとつ。一見ネガティブに思えることでも、乗り越えるだけでなくむしろそれをエネルギーとして吸収しちゃうために、重要な視点があります。

 それは、「プロセス重視」のマインドセットです。私たち日本人はつい「結果」をものすごく重視してしまう傾向にあります。たとえば受験でも、「不合格=失敗」と捉えてしまう。これはものすごく、いろんな可能性に蓋をしてしまっていることになっていると思うんです。

 あるとき、私のもとにこんなメッセージが来ました。

「僕は、ビリギャルに感化されて早稲田に行きたいと思いました。しかしそれを三者面談で言ったら、“商業高校から早稲田はリスクがでかすぎるからやめろ”と言われてしまいました。やっぱりさやかさんもリスクが大きすぎると思いますか?」