長期的な「幸せ」には
自己成長・自己実現が欠かせない

 例えば、日本人が大好きなハワイのビーチで快晴の中、お金も時間も有り余っているので心配事もなく、一日中寝転がってNetflixを見ていていいよの状態は、これにあたります。

 でもみなさんちょっと想像してみてください。これを1カ月ずっとやっていたら、ちょっと飽きてきませんか?私なら、1週間が限界かな。

 ギリシャの哲学者アリストテレスは「ヘドニック・ウェルビーイングだけでは人は幸せにはなれないよ」と言ったんです。

 ここで、もう片方の「幸せ」の出番です。

 Eudaimonic Well-being(ユーダイモニック・ウェルビーイング)は、自分の能力を活かして自己成長や自己実現を達成したときに感じる満足感のこと。

 例えば、体育祭や学園祭をクラスのみんなで頑張って、なにか賞をとったとき。なんかよくわかんないけど泣けてくる、あの感じ。部活を毎日頑張って、県大会で優勝したとき。仕事で、何カ月も必死で取り組んだプロジェクトがうまくいったとき。なんとも言えない満足感を感じますよね。あれです。

 それがユーダイモニック・ウェルビーイング。アリストテレスは、長期的に安定的に幸せな人生を送るためには、このユーダイモニック・ウェルビーイングが満たされている必要があると言いました。

ちやほやしてもらい収入があっても
幸せとは限らない

 少しだけ、私の話をさせてください。10年前「ビリギャル」の原作を私の恩師坪田信貴先生が出版され、2015年には有村架純さん主演で映画化されました。

 みるみるうちに多くの方に私の話を知っていただくことになり、当時ウエディングプランナーとして働いていたわたしのもとに講演依頼が殺到するようになりました。子どもたちの役に立つのなら、とお受けしていろんな学校や地域を回っていたら、気づけばこれまで500回以上の講演をさせていただいてきました。

 どこに行ってもみなさんにちやほやしていただいて、充分な収入もいただけて、家族も友人も近くにいて、美味しいごはんも毎日食べられる。それなのに、なぜだか、心に穴がぽっかり空いていて、空気がスースーと通るような感覚が何年も消えなかったんです。