未来の自分に現在の自分を
「がんばった」とほめてもらおう

 もしも、過去に何かつらいことがあったとして、そこから逃れたいと思っているのであれば、いま自分が幸せであることを認識して、過去にフィルターをかけるのが一番の近道だと思う。

 楽しい、うれしい、おもしろい、笑える、心が温かくなる──そんな時間を、意識的につくって、幸せな自分を思う存分感じてみる。待っているんじゃなくて、自分から動く。そうすると、過去といまが、すでに別次元であることに気づくと思う。

 ダメな自分はダメな自分としてあるし、消せない過去は一生消せない。でもそれはそれとしてパラレルワールドに置いておいて、いまは別次元で全力で未来に向かう。過去を片手に持ったままでも、視点はいつも遠くを見ている、そんなイメージかもしれない。

 それでも過去の私はいつだって私の中に潜んでいて、ときどき思いがけないところで叫びだす。そんなときには、「大丈夫、大丈夫」と言って優しく許してあげられる、未来を見ている私でいたいと常に思っている。

 過去の苦い記憶の話をしたけれど、もうひとつ大事なことがあると思っている。「現在の私」が、未来の私の後悔のタネをつくらないことだ。60歳の冨永愛に、「41歳の冨永愛ってサイテーじゃん」とののしられるのは、できれば避けたい。いまの私が18歳の自分をねぎらうように、60歳の私にも「がんばったじゃん」とほめてもらいたい。そのために私は、「その日の反省はその日のうちにしてしまう」ということを実践している。

 夜眠る前に、私は今日一日のことを思い出す。今日の出来事をひと通り思い出したうえで、よかったこと、悪かったことも考えてみる。うまくいったことは、うまくいった理由、失敗したことは失敗した理由をちゃんと考えて、分析して、反省すべきところは反省する。謝罪したほうがいいと思ったら、その場でメールを送るなどして対応する。翌日にまで引きずらないことを、私は自分に課している。

反省タイムはその日だけ!
いつもの自分に戻って眠る

 そして反省タイムは、今日のことだけに集中する。1週間前や1年前の出来事はもう「決済済み」のファイルに入っているはずなので、そこから引っ張り出すことはしない。もちろん必要と感じたときにはするけれど、多くの場合は無駄に広げるだけになるから、なるべくしない。