2は子どもに小さな自我が芽生えた頃から、子ども自身の意思を尊重してきたということだ。良い生活習慣の確立という意味での躾は必要なので、何でもかんでもOKというわけではない。

 しかし、今日、着たい服、今、読んで欲しい絵本、ハマっている遊びなどは可能な限り、子ども自身の気持ちに寄り添うように努めてきたということだろう。特に、子ども自身が興味を持って「やってみたい」というものについては、積極的に後押ししてきたと答えてくれた親は少なくない。

 吉沢選手の場合、7歳の頃、兄に連れていかれたスケボーパークでスケボーと出会い「やってみたい!」から始まったとのこと。以来、両親は「子どもの習い事感覚」で練習に付き添い、応援してきたという。

 3の「比べるときは『横ではなく縦』を意識」というのは、他人(横)との比較ではなく、昨日、先月、あるいは去年といった過去の我が子と今現在の我が子という風に、我が子自身の成長を縦軸で見るという意味だ。親はついつい隣の子や何かの平均値と我が子を比べがちだが、他人軸を基準にすると元々持っている才能も伸び悩む。

 吉沢選手は、中学生になるまでスマホは禁止でSNSをやっておらず、女子の競技レベルを知る機会がなかったそうだ。そして、21年の東京五輪で西谷椛選手が金メダルを獲得した際の技が、自身が公園で完成させていた技と同じということをテレビで知り、「あ!私もこれできるじゃん!」とスイッチが入ったというストーリーは有名だ。

 五輪前には「誰かを気にするのではなく『戦うのは自分』 と思って、120%の力を出して、オリンピックで1位を取れるように頑張ります」との意気込みを語っている。