歯医者「減少」時代#2Photo by Shogo Murakami

慶應義塾大学と東京歯科大学は法人合併の延期を2021年に発表して以降、すっかり音沙汰がない。統合は白紙に戻ったのか。東京歯科大にとっての「100年の悲願」はついえたのか。特集『歯医者「減少」時代』(全26回)の#2では、東京歯科大の一戸達也学長を直撃した。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

23年に誕生するはずだった
「慶應歯学部」は白紙に戻った?

――東京医科歯科大学と東京工業大学が10月に統合して東京科学大学が誕生します。この国立トップ大の医学と理工学の連携に先駆けて、私立トップ大の医工連携になる東京歯科大学と慶應義塾大学の法人合併が予定されていました。東京歯科大は単独ではこの先、限界を迎えると判断して統合を申し入れたのでしょうか。

 東京歯科大は単科大学であり、もちろんそこに誇りを持っていますが、自分たちの中だけでいろいろ発展させていくことには弱いのも事実。医工連携できるのはとても大きい。今も現場では慶應の先生たちと一緒に仕事したり、研究したりしています。

 研究して論文を書くのも大事ですが、そうした成果を産学連携などを通じて社会実装につなげたいんです。例えば東京工業大や慶應大などの大きな大学には産学連携室のような組織があるじゃないですか。東京歯科大にはそうしたことが欠けていました。

 もっとも、これは統合抜きに、自分たちの大学が意識を持って踏み出さないといけないことでもありました。この2年で、特許申請などはだいぶ進むようになりました。

――当初計画では2023年をめどに統合して慶應大に歯学部がつくられるはずでした。ところが21年に統合延期を発表。その後音沙汰がありません。統合は白紙に戻ったのでしょうか。