コロナ禍の3年間で生活様式は一変し、感染対策の名のもと、若者の行動は厳しく制限された。こうした中で2021年に大学受験は大きく変化したが、彼らはこの困難をどう乗り越えたのか?1949年から京都大合格高校の歴史を見つめ続けてきた筆者が、インタビューなどを通じて読み解く。※本稿は、小林哲夫『京大合格高校盛衰史~天才たちは「西」を目指した~』(光文社新書)の一部を抜粋・編集したものです。
2021年・京大入試合格者数ランキング
コロナ禍のオンライン授業で何が変わった?
2020年の新型コロナウイルス感染拡大で、多くの学校はオンライン授業に切りかわった。この時の高校3年生、予備校生が京都大受験に挑んだ。医学部人間健康科学科に合格した男子(千葉・千葉)がこう話す。
「新型コロナウイルスの蔓延で一斉休校がありました。ちょうど学校の授業が始まる前だったので、高校3年生は受験勉強できちんと予習する時間がなさそうという憶測から、学校から送られてきた教科書やテキストを用いて高校3年生1年間分の予習をする時間に充てました」(『私の京大合格作戦2022年版』)。
2020年代、コロナ禍は高校生活に深刻な影響を与えた。とくに20年の高校入学者は最初から全面オンラインで、教室で教員や同級生と直に触れあうことはできなかった。コロナ禍初期に1年生だった男子(熊本・熊本)は大学受験の指針を求めて東進衛星予備校に学んだ。当時の不安をふり返る。
「僕が高校に入学した時はちょうど新型コロナウイルスが蔓延し始めた頃で、高校の授業開始が1カ月以上延期になり、勉強のことで不安を抱えていたのを覚えています。そんな時に東進の存在は非常にありがたいものでした」(東進ハイスクールウェブサイト)。
彼は23年工学部に合格した。
東進ハイスクールは1990年代から難関大学進学実績を高々とうたいあげている。同校講師、林修氏の広告「いつやるか?今でしょ!」が流行したのが2013年。東進ネットワーク(東進ハイスクール、東進衛星予備校。のちに早稲田塾が加わる)は、高校3年生在籍者の京都大現役合格者数を次のように記している。
2014年246人→15年298人→16年309人→17年370人→18年372人→19年373人→20年451人→21年461人→22年468人→23年472人(『高校の実力』毎日新聞出版。各年版の広告から)。
◆一般入試・募集人員2660人/志願者7045人/合格者2725人/入学者2715人(女子568人、20.9%)、現役1756人(64.7%)。特色入試・入学者139人(女子67人、48.2%)。