神戸エリアの関西学院大学と甲南大学、大阪エリアの関西大学と近畿大学。これらの大学に対する評価は、受験生の親世代と子世代の間でギャップがある。このギャップの正体とは?特集『大学 地殻変動』(全21回)の#13では、関西の私立大学について、ベネッセコーポレーションの協力で1982年以降42年間の偏差値の推移をまとめ、大学通信の協力で一般選抜入試の実質倍率を10年前と比較した。(ルートマップマガジン社取締役・編集長 西田浩史、ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
大阪公立大の完全無償化
私立大学の優劣にも波及
大阪府は5月に大阪公立大学などで授業料等を完全無償化する素案を、続いて8月には兵庫県が兵庫県立大学などでの完全無償化をそれぞれ発表した。どちらも地元在住者に対して所得制限を設けない「完全無償化」で、段階的な導入を経て2026年完全実施を目指すものだ。
大阪公立大が「打倒!神戸大学」で臨んでいるのは周知の事実。神戸大は「難関国立10大学」にくくられ、関西圏では京都大学と大阪大学に次ぐポジション。これを抜くことがあれば、大学業界においては歴史的な大事だ。
神戸大は国立大学であるが故、自治体レベルの判断で政治家なりが自由にいじれるものではない。その点が大阪公立大に有利に働いている格好だ。
一連の動きは国公立大学の優劣にとどまる話ではない。これはエリアの私立大学、具体的には神戸エリアの関西学院大学や甲南大学、大阪エリアの関西大学や近畿大学の優劣にも波及する。
関西学院大と関西大は関西の難関私立大学群として「関関同立」(関西大、関西学院大、同志社大学、立命館大学)の呼び名でくくられている。甲南大と近畿大は関関同立の下の私立大学群として「産近甲龍」(京都産業大学、近畿大、甲南大、龍谷大学)の呼び名でくくられる。
各くくりの中での大学の序列には、受験生の親世代と子世代の間でギャップが生じている。次ページでは、関西の私立大学群である関関同立、産近甲龍、その下の大学群である「摂神追桃」(摂南大学、神戸学院大学、追手門学院大学、桃山学院大学)について、42年間の偏差値推移早見表、および入試倍率を掲載。世代間ギャップ、ひいては神戸組と大阪組の勢力事情を明らかにする。