食事写真はイメージです Photo:PIXTA

「脂肪」が人を強く美しくする源だ。医学界では近年、「免疫細胞は内臓脂肪から作られる」「内臓脂肪のある人はがんになりにくい」という説が評価され始めている。「脂ギッシュ」や「ギラギラ」こそが、健康で長生きに向かうGOサインなのだ。本稿は、和田秀樹『コレステロールは下げるな』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。

長生きしたいなら「太め」がよし
ダイエットなど自殺行為だ

 痩せることは、決してよいことではありません。それどころか、命を縮めることにもなりかねません。高齢になるほど、その危険性は増していきます。

 高齢者の多くは食が細くなり、自然に痩せていきます。すると体力や筋力が低下し、足腰も弱まります。足腰が弱ると転倒のリスクが高まります。また、食べ物を咀嚼して飲み込む力も弱くなり、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。このように、大きなトラブルに見舞われると、一気に衰弱していくのも高齢期の特徴です。

 つまり、痩せるのは厳禁なのです。ダイエットなどもってのほかです。

 健康に長生きしたいのなら「少し太め」くらいがちょうどいい。「BMIが25~30」くらいを目指すべきです。実際、このくらいの人のほうが長生きすることは、数々の研究で明らかにされています。

 反対に、18.5未満の「低体重」になると、死亡率は大幅にアップします。

 私の経験からも、痩せている人は早死にする人が多く、少し太めの人には長生きする人が多いと実感しています。しかも、太めの人は長生きするだけでなく、活力にあふれ若々しいのです。

 ところが、メタボ健診でBMIが25~30の人は「肥満度1ですね。少し体重を落としてください」などと言われてしまいます。せっかく元気で長生きできる“理想体重”なのに、わざわざ減らせと指導されてしまうのです。

 近年では「高齢者のBMIは高めのほうがいい」と指針が修正されるようになりましたが、一般の方はほとんど知りません。それどころか、医師でさえ知らない人がいるようです。

 これは悲劇と言えるでしょう。実態を知らない医師に「痩せろ」と言われ、指示通りにしたらどうなるか?命を縮めてしまうことになりかねないのです。

若い人も痩せるのは危険
だが「大太り」も危険

 私がこのように話すと、若い世代からはこんな反論が返ってきます。「太めがいいのは高齢者だけ。若い世代は太っちゃダメですよね」と。確かに、若い世代は太ることには抵抗があるでしょう。しかし同じく「痩せているからいい」とは言い切れないのです。