太っている人の血液は
本当に「ドロドロ」なのか

“血液サラサラ”とか“血液ドロドロ”という表現を見聞きしたことがあるでしょう。これも誤解を生み、痩せ願望を生む原因になっていると言えるでしょう。

 例えば、中性脂肪が1000mg/dLだとします。この数値は「要注意レベル」なので、医師は「血液ドロドロの状態ですね。痩せないと危険ですよ」などと言います。すると「これはまずい」と、肉料理や脂っこい料理を食べなくなります。ドロドロの血液が流れ、血管が破れたり詰まったりするシーンを想像して、恐ろしくなるのです。

 でも冷静に考えれば、これは単なるイメージに過ぎないことがわかります。

 なぜなら「1000mg/dL」というのは「100mlの水の中に1gの脂肪が入っている」のと同じ状態だからです。水をコップに半分ほど入れ、そこにスポイトで10滴くらい油を垂らした状態、と考えるとわかりやすいでしょう。

 100mlの水はドロドロになるでしょうか?なりませんよね。

 つまり、中性脂肪で「血液がドロドロ」になることはないのです。

 ただし「脱水症状」になると、話は別です。夏場に水を飲まずに運動したり、サウナで汗をかいたりした時に、脳梗塞や心筋梗塞で倒れる人がいます。これは血液から水分が抜け、ドロッとした状態になっているからと考えられます。

 ですから、もし「血液ドロドロ」を恐れるのであれば、中性脂肪よりも脱水ということになります。

 ちなみに、中性脂肪の基準値は「30~49mg/dL」(空腹時)とされています。「150mg以上」だと“脂質異常”とされ、薬を飲むよう指導されます。

 私は普段は600mgほどで、食事内容によっては1800~2000くらいまで跳ね上がります。さすがに4ケタはまずいので、脂っこい料理は少しくらいは控えたり、薬を飲んだりして3ケタをキープするようにしています。

 中性脂肪が高過ぎると、急性膵炎のリスクが高まったり、脂肪肝が進みやすくなるなど、心配な点が増えてきます。やはりそれは避けたほうがいいでしょう。