成功要因(1)
小学生からの絶大な人気

 サーティワンのホームページを覗いてみると、この8月は子ども向けのキャンペーンが充実しています。ポケットモンスターとコラボした「31ポケ夏!」に、すみっコぐらしとのコラボ商品、前月の7月はミニオンズで6月はマリオといった具合に、毎月のように子どもが飛びつきそうなキャンペーンを行っています。

 サーティワンというと、どちらかというと大人の女性が大好きなチェーン店というイメージがあるのですが、ことキャンペーンに限るとメインの顧客層と違うターゲット(=子ども)にフォーカスをしています。これを疑問に感じる人がいるかもしれません。

 実はこのやり方、マーケティングの長期戦略として非常に確実な顧客確保方法なのです。

 というのは、「食」というものは子どもの頃に覚えた味が圧倒的な記憶となって維持されるからです。

 わかりやすい例が日清食品の「カップヌードル」です。1971年に発売された商品で、その後さまざまなバラエティの新商品が登場しますが、なぜか一番売れるのは昔からある最初の商品。その理由は多くのユーザーにとって人生で一番最初にたくさん食べたカップ麺がこの味だからです。

 このやり方はアイスクリームのような競合が無数にある食品では特に有効です。

 コンビニやスーパーでいつでもアイスが手に入る時代に、小学生の目の高さで31種類のカラフルで違った美味しさが楽しめるアイスが選べるという「特別な体験」を刷り込んでおく。これによって、サーティワンのアイスは特別なんだという舌の記憶を刻むことができるのです。

 とはいえ、この物価高のご時世に普通のアイスよりも割高なサーティワンに子どもを親が連れていくかどうかが気がかりかもしれません。しかし、その心配はいりません。

 なぜなら子どもをお店に連れていくお母さんの世代もすでに、子ども時代にサーティワンのファン層になっているからです。