「ローリスク・ハイリターン」を実現する思考法、米著名投資家が説くボラティリティと株価上昇の関係Photo:PIXTA

7月末から8月初めにかけて日本株の暴落を受けて、下げに強い株式運用を望む声が高まっているが、米著名投資家のケン・フィッシャー氏は、短期間の運用で資金の安全確保とリターンの両方を実現することはできないと指摘する。両者を実現するための考え方を整理し、個人投資家が理解すべきことを解説する。

カロリーゼロのチョコレートケーキは
資本保全とリターンの短期での両立と同じ

 世界平和やカロリーゼロのチョコレートケーキと同じで、ボラティリティが無いのにリターンがあることを約束する運用商品を売り込むのは愚か者か詐欺師だ。こうした商品は投資家にとって魅力的だろうが、それは単なる幻想でしかない。

 願い事には気を付けよう。投資の成功には合理的な目標と期待が必要だ。残念ながら、運用資金の安全確保(資本保全と呼ぼう)とリターンの両者を成立させることは短期目標としてあり得ない。だがリターンを達成すれば、長期的には両者が得られる可能性は高い。

 短期ではあり得ないのに長期ではあり得る、という考え方で混乱した読者もいらっしゃるかもしれない。そこで今から説明していこう。