東京地下鉄路線の混雑率トップ3を
一気に抜き去った東京メトロ日比谷線

 2位に入ったのが東京メトロ日比谷線(三ノ輪→入谷)だ。コロナ以前、東京の地下鉄路線で長らく混雑率トップの座にあったのが東西線だ。2019年の調査では東西線(木場→門前仲町)の199%、千代田線(町家→西日暮里)の179%、半蔵門線(渋谷→表参道)の169%がトップ3で、都営地下鉄では三田線(西巣鴨→巣鴨)の161.4%が最高だった。

 同年の日比谷線は、都内地下鉄13路線中11位の158%で、12位は副都心線(要町→池袋)の155%、13位は浅草線(本所吾妻橋→浅草)の131%だったので、コロナ前を上回る162%を記録して一気に地下鉄トップに躍り出たのは驚きだ。

 13路線合計の輸送量は2019年から2023年で約16%減少する中、2023年3月に開業した東急新横浜線と直通する南北線(駒込→本駒込)、三田線と、沿線で虎ノ門ヒルズ、麻布台ヒルズが開業した日比谷線の3路線だけが増加している。2022年から2023年で13路線の輸送量は平均約9%増加しているが、日比谷線は地下鉄で最も大きく、調査対象路線全体でも上位の約20%増だったことも沿線の変化を裏付けている。

中央線と埼京線が
上位を維持した要因

 3位は埼京線(板橋→池袋)、4位は中央線快速(中野→新宿)と、コロナ前からの混雑路線が続いた。埼京線がコロナ以降も上位にランクインしていたのに対し、中央線は2020年、2021年はやや順位を落としていた。8位の東海道線(川崎→品川)も2020年、2021年は大幅に減少していたが、2022年、2023年と順位を上げた。

 ただしこれら3路線のランキング変動は、必ずしも利用がコロナ前に戻ったことを意味しない。対2019年の輸送量は中央線快速が約20%減、東海道線が約30%減であり、2019年に1~3位を占めながらコロナ以降はランキングから姿を消した東西線(木場→門前仲町)の約22%減、総武線各駅停車(錦糸町→両国)約30%減、横須賀線(武蔵小杉→西大井)の約37%減と比較して特別高いわけではない。

 混雑率とは輸送量(乗客数)を輸送力(定員の総計)で割った指標のため、「輸送量が増える」または「輸送力が減る」ことで混雑率が上がる。ラッシュ1時間ピーク運行本数はコロナ前から、横須賀線、総武線各駅停車が毎時1本減便したのに対し、東海道線、中央線快速は毎時2本減便したことが混雑率を底上げした要因である。