他路線の混雑率低下で
順位を上げた3つの路線

 5位のつくばエクスプレス(青井→北千住)、6位の武蔵野線(東浦和→南浦和)、7位の大江戸線(中井→東中野)はコロナ以降、特に順位を上げた3路線だ。いずれも対2019年輸送量は90%を超えており、減便も行っていない。正確に言えば、他路線の混雑率が下がったことで相対的に順位が上がったことになる。

 輸送力に注目すると、対2019年増加率が上位の路線は、いずれもコロナ前から進められてきた輸送力増強が実現した路線だ。代表的なものは相鉄新横浜線・東急新横浜線の開業により増発と編成両数の増結を行った相鉄本線(鶴ケ峰→西谷)、東急目黒線(不動前→目黒)、三田線、埼玉高速鉄道、南北線だ。

 コロナ前から混雑が問題化していたつくばエクスプレスは増発、日暮里舎人ライナーは増発と車両の定員増加、横浜市営地下鉄グリーンラインは一部編成を4両から6両に増結した。また柏~船橋間の複線化が完了した東武野田線(新船橋→船橋)、金沢八景駅の移設工事が完了したシーサイドライン(新杉田→南部市場)も増発を行っている。

 一方、輸送力の減少率上位3路線は、1時間あたり11本から9本へ減便した北総鉄道(新柴又→京成高砂)の約29%減、22本から17本に減便した山手線外回り(上野→御徒町)の約23%減、23本から18本に減便した中央線各駅停車(代々木→千駄ヶ谷)の約22%減だった。

 なお輸送力の削減が輸送量の減少を上回った路線は北総鉄道、流鉄流山線(小金城趾→幸谷)、埼玉新都市交通ニューシャトル(鉄道博物館→大宮)、京成押上線(京成曳舟→押上)、千葉都市モノレール(千葉公園→千葉)の5路線だった。コロナ前より混雑率が上がる結果となっており、運行本数の再検討が必要だろう。