行動規制や時間・場所の分散
教育・啓発などさまざまな対策

 オーバーツーリズム問題を解決するためには、地域ごとの特性に応じた多様な対策が求められます。

 まず観光客の行動を規制する方法が挙げられます。例えば、特定のエリアでの飲食禁止やごみの持ち帰りを義務付けることなどで、環境保護や地域住民の生活への影響を抑えることができます。

 次に、観光地へのアクセス制限。これには予約制の導入や特定の時間帯のみのアクセス許可が含まれます。一度に受け入れる観光客の数を制限することで、施設やインフラの負荷を軽減する効果が期待できます。具体的には、入場券の枚数を制限するなどの方法があります。

 観光客の集中を避けるためには、時間と場所の分散も有効です。時間分散には、1日の中で観光客が集中する時間帯を避けるための訪問時間の調整や、オフシーズンのプロモーションを強化することで、1年を通じて観光客を分散させる方法があります。場所の分散では、一部の人気観光地に観光客が集中しないように、他の地域への誘導を図ることなどが挙げられます。新たな観光地の開発や既存の観光地の知られていない魅力の再発見・再アピールなどが、その具体例です。

 観光地の過密状態を緩和するために価格を引き上げることも1つの方法です。観光客に対して高額な料金設定を導入することで、訪問者数を抑制し、質の高い観光客をターゲットにすることができます。これにより、環境への負荷を軽減し、地域経済の安定を図ることも可能です。

 観光客への教育と啓発も欠かせません。観光地でのマナーやルールを周知することで、観光客の行動を改善し、地域住民との摩擦を減らすことにつながります。施策としては、観光案内所や宿泊施設での情報提供、オンラインでの啓発キャンペーンなどが挙げられます。さらに地域の文化や自然環境の重要性を伝えることで、観光客がより責任ある行動を取るよう促すことが考えられます。