最近、若い人たちを中心に「MBTI」「16性格診断」と呼ばれる性格診断が流行している。マイクロソフトやグーグルでエンジニアとして活躍し、複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏は「人材配置では性格ではなく能力の評価が大事」と述べ、スキルを身に付けることの重要性を説く。及川氏が勧める、DX人材に求められる“変わる”力とは。
ラベル好きの人がはまっている
「16性格診断」とは
私は講演などで登壇する機会も多く、話し始めると熱心に語ることから社交的だと誤解されることが多いのですが、実はあまり社交的ではありません。パーティなどの集まりにも、自ら積極的には参加しません。特にコロナ禍の間は、会食や集まりを避ける理由として自分が非社交的であることを強調していて、それ以来、ますます非社交的な性格が強くなったように感じます。
で、非社交的であることを宣言すると、そもそも集まりに誘われにくくなり、さらに非社交的になるループに入ったように感じます。社交の場に無理に誘われることが減ったのでストレスは軽減しましたが、それが自分にとって本当に良いことなのかどうか、少し悩ましいところです。
この一連のループ現象は、私が自分に「非社交的」というラベルを付けたことから始まっています。人はラベルを付けたがる生き物です。ラベルを付けることで「この人は社交的」「自分は非社交的」といった具合に説明がしやすくなるからです。ラベルを使えばコミュニケーションが簡略化され、他者との関係性や自分自身の理解を整理しやすくなります。
最近、若者を中心に16性格診断(16 Personalities)というものが流行していますが、これもラベル好きの人間のさがの成せる技でしょう。この診断は、一連の質問に答えることで、自分の性格を16の異なるタイプに分類するもの。分類には外向型(E)/内向型(I)、感覚型(S)/直感型(N)、思考型(T)/感情型(F)、判断型(J)/知覚型(P)という4つの対立する尺度を用います。
16性格診断は2年ほど前から韓国のアイドルの間で広まり、アイドルが自分の性格タイプを公表するとファンの間に広がりました。それが、自己理解や他者理解に役立つとして日本にも波及しています。