ゴミ箱あさりで15万円超の商品をゲット!「ダンプスター・ダイビング」を副業にする人の心理写真はイメージです Photo:PIXTA

アメリカは「返品大国」と呼ばれるほど、返品に寛容らしい。例えば洋服の場合、開封後に着用してサイズが違ったり似合わなかったりしても返品できるのだ。その「ムダ」になったとも言える返品された商品や売れ残り商品の行く末を4段階で解説する。※本稿は、バイロン・リース/スコット・ホフマン著、梶山あゆみ訳『この世からすべての「ムダ」が消えたなら:資源・食品・お金・時間まで浪費される世界を読み解く』(白揚社)の一部を抜粋・編集したものです。

アメリカの返品・売れ残り品の
合計額はポーランドのGDPに等しい

 返品された商品がどうなるかというと、めったに日の当たらない小売経済の裏側で処理される。このプロセスは「リバース・ロジスティクス(返品物流)」と呼ばれる。

 メーカー→小売店→消費者という通常の商品の流れが逆になっているということだ。この業界を理解するのはなかなかに難しく、そこにはいくつかの理由がある。

 1つ目は、返品商品の扱い方が企業によって違うこと。2つ目は、同じ企業でも扱い方がつねに変化すること。3つ目は、扱い方が個々の店舗レベルでも異なる場合があること。そして4つ目は、自社のビジネスの中でもいささか不透明なこの領域について、企業が往々にして口を開きたがらないことだ。沈黙の背景には、自分の買った商品が新品だと顧客に思わせておきたいという理由もあるかもしれない。最近になるまで、返品の処分は厄介の種だった。倉庫に積みあげられ、スペースを空ける必要性が生じたら廃棄された。

 返品商品のほかにも、リバース・ロジスティクスを構成する要素がもうひとつある。売れ残り商品だ。

 アメリカで返品される商品は全体の10%だが、そもそも売れなかった商品が全体の5%を占める。流行遅れのファッショングッズや、型落ちした電子機器などがここに含まれる。両方合わせて全体の15%がサプライチェーンを逆戻りしてくる。その金額はざっとポーランドのGDPに等しい。