二次市場の規模が5440億ドルに
8年間で約80%アップの急成長

 いわゆる二次市場――返品商品や売れ残り品を取りあつかうチャネル――は規模が非常に大きく、拡大を続けている。この分野を精力的に研究しているのが、コロラド州立大学のザック・ロジャーズ博士だ。

 ロジャーズの研究チームは二次流通市場をいくつかのカテゴリーに分類している(質店、アウトレット店、廃品回収業者、ネットオークションサイト、慈善団体、蚤の市、1ドルショップを含む安売り店)。チームの計算によると、アメリカの二次市場の規模は2008年には3100億ドルだったのに対し、そのわずか8年後には5540億ドルに達した。たった8年間でおよそ80%の伸び率である。これはアメリカのGDPの3%に相当するとロジャーズは指摘する。

 いまや二次市場は一次市場と競合している。傷や凹みのあるワッフルメーカーをイーベイで落札するような人は、新品をウォルマートで買ったりしない。

 現代の消費者に購入先の選択肢がいくつもあるせいで、伝統ある小売業者――創業100年をゆうに超えるような有名どころ――がいくつも廃業している。こうした老舗企業が次々に店をたたむにつれ、さらなる商品の山が二次流通市場へと流れている。

 アマゾン、イーベイ、ウォルマート、アマゾン・ウェアハウス・ディール、ノードストローム・ラックが割拠し、ディスカウントストアがあまたひしめく世界にあって、シアーズやJCペニーといった大手百貨店はどんな価値を顧客に提案すればいいのか。老舗小売店はなんとかその答えを見つけようと必死でもがいている。

 たとえばJCペニーは2019年8月、スレッドアップ社と提携したことを発表した。スレッドアップは中古ファッションの委託販売を手がける会社で、「一流デザイナー・一流ブランドの新品同様のファッション」を販売している。つまり、JCペニーは新品と並行して中古品を売りはじめるということだ。いうまでもないが、こうした戦略を打ちだしたところで業界の進化の波に――もしくはパンデミックに伴うもろもろの出来事に――あらがえるはずもなく、JCペニーは2020年7月に破産を宣言した。