「中田敦彦のYouTube大学」や「両学長 リベラルアーツ大学」などで取り上げられ、今話題になっている『FIRE 最強の早期リタイア術』。早期リタイアして自由に暮らす生き方「FIRE」(Financial Independence, Retire Early)の第一人者が、貧しい生い立ちながらも資産をつくり、若干31歳で経済的自立を手にした「具体的メソッド」を詰め込んだ1冊だ。本連載では、本書の内容から、最速で経済的な自由を手に入れるための方法をお伝えしていく。

31歳で億万長者になった人が語る“衝撃的な貧しい経験”で手に入れた力とは?Photo: Adobe Stock

「目に見えない無駄」を見分ける力

 私は多くの人からメールで自分たちの経済状況を分析してほしいと頼まれます。

 彼らのお金の使い方を見てみると、ミリオネアである私がいま年間で使っている金額の何倍ものお金を使っています。

 私が礼儀正しく(そんなに礼儀正しくないこともありますが)そのことを指摘してあげると、「切り詰められる支出なんて何も思いつきません!」といった反応を返してきますが、貧しく育ったことで私が得た最も貴重な能力の1つが、目に見えない無駄を見分ける能力です。

 1つ例を挙げましょう。私は子どものころ、どうしても糖尿病になりたかったのです。奇妙だとお思いでしょう? 説明させてください。

 糖尿病は私にとっては、世界で最も誉れ高い病気です。裕福な人、少なくともたっぷりキャンディーを買えるお金を持っている人がなれる病気だからです。

 カナダに移住してからというもの、私はたっぷり砂糖を食べたり飲んだりして子ども時代を過ごしました。特に桃の缶詰が大好物でした。ただ、桃自体を食べられることはなく、私が口にしていたのはシロップだけです。

 私の母はビュッフェ形式の中華料理店で皿洗いの仕事をしていました。ウェイトレスは半分に切った桃をデザートコーナーの容器にいっぱいにするたびに、シロップを捨てていたのです。私の母はタイミングをはかって、排水口に流される前にそのシロップを奪いとりました。

 私は中毒になり、1日中そのシロップを飲んでいました。幸せを運んでくれるシロップでした。タダで砂糖が手に入っただけではなく、牛乳やジュースを買うお金を節約できたからです。桃のシロップや水など、そのレストランが1日の終わりに廃棄するものだけで私は生活できました。まさに天国でした。

 私は最近、このことを友人に話しました。彼女は完全にあきれていました。ただ、これは私の住んでいた世界、彼女には理解できない世界です。私はバランスの良い食事や1日の栄養摂取量などといったことは知りませんでした。私の食べ物はあなたの食べ物が入れられているものでした。あなたがフルーツを食べ、私がシロップを飲んだのです。

 まだ話のテーマがわからない人のために言うと、他人のゴミが私には宝物同然だったということです。そうしたものを胃の中で消化しながら、私はどれだけの無駄が目に見えないのかに気づきました。