「様子を見ましょう」と言われたらどうしたらいい?
一度の診察ですべてはわからない

 初めて診察に訪れた病院で、「お子さんは自閉スペクトラム症ですね」などといきなり確定診断をつけられることはあまり多くありません。たいていの場合、「しばらく様子を見てみましょうか」と提案する医師がほとんどだと思います。大切なお子さんの将来に関わることですから、親御さんからしてみれば、「そんな悠長な!」とか「一刻も早く白黒はっきりさせてほしい」と気持ちが焦り、さらに不安をつのらせてしまうかもしれません。しかし、大切な将来に関わることだからこそ、じっくり時間をかけて慎重に見極める必要があるのです。

 特に小さな子どもの場合、そのときの機嫌や状態によって言動はコロコロと変化します。病院のような慣れない環境では、緊張して借りてきた猫のようになり、普段ご家庭で見せる様子とはまるで違ってしまう子も少なくありません。発達障害の診断で大切なのは家族と医師がその子をよく理解し、どんな不安や生きづらさを抱えているのかを共有することですから、そこに至るまでに多少時間がかかるのは仕方ありません。焦らず、根気よく相談や診察を続けてみてください。

 また、医師に「様子を見ましょう」と言われたら、次に挙げた4つのポイントを忘れずに確認しておきましょう。二、三度通院してみて、医師やスタッフの対応に不安、不満を感じたときは、セカンドオピニオンとして他の相談機関や病院を訪れてみてもいいかもしれません。

医師に聞いておきたい
4つのポイント

 忘れずに以下のポイントを確認しておこう!

(1)普段の生活ですること、注意すべきことは?
(2)主にどんなところに注目すればいい?
(3)「様子を見る」のはどれくらいの期間?
(4)次回の診察日は?

他にも気になることは遠慮せず聞く
 普段の生活での接し方、進路の相談、パニック時の対処法など、わからないことはしっかり聞いておきましょう。

いつでも見直せるようしっかりメモをとる
 不安な気持ちのときは頭の中も混乱しがち。聞いたことを忘れないようにきちんとメモしておくと安心です。

不安なときはセカンドオピニオンも活用
 ケガや風邪と違い、発達障害は担当医や病院とは深く、長い付き合いになっていくケースがほとんどです。対応や診断に不安を感じたときは思い切って他の病院に相談してみてもいいでしょう。