成長や経験によって特性自体が消えてなくなることはありません。しかし、毎日の生活の中にある困りごとを周囲の人々がサポートし、社会のルールをわかりやすい形で示してあげることで、子どもの適応力は育っていきます。ひいてはそれが生きづらさの軽減にもつながっていくのです。

生きづらさを克服するには、
「適応力」が大切

自閉スペクトラム症(ASD)

 コミュニケーションが苦手、特定の物事に強いこだわりがある、パニックを起こしやすいなど、社会性に難がある。こうした特性が強いと日々の生活でのストレスも多く、生きづらさを感じているケースも少なくない。

注意欠如・多動症(ADHD)

 年齢や発育に対して注意力が足りない。衝動的な行動や発言が多く、日頃から落ち着きがない。集中力が持続しないなどの特性が見られる。重度になると日常生活に支障をきたすことも。

限局性学習症(SLD)

 文章を流暢に読む、文字や数字を正確に書く、ひっ算や暗算の計算をするなどの学習行為が困難、あるいは人より時間がかかってしまう特性。知能全般の遅れはないため、知的障害ではない。

「グレーゾーン」という言葉に惑わされてはいけない
「グレーゾーン=症状が軽い」は間違い

 発達障害の有無や状態について語るとき、よく使われる言葉のひとつに「グレーゾーン」というものがあります。このグレーゾーンとは、発達障害の特性や疑わしい言動はいくつか見られるものの、診断基準を満たしていないために、現時点では確定診断がつけられない状態のことです。

 一部には「診断基準を満たしていない」という部分を都合よく解釈し、「つまり、発達障害ではない」、あるいは「症状が軽い(=特性が弱い)」と楽観的に考えてしまう人もいるようですが、それは大きな間違い。そもそも「グレーゾーン」というのは医学的な診断名ではなく、今の段階ではまだ診断名こそつけられないものの、「発達障害の傾向は見られる」という意味で使われるのが一般的です。