発達障害とは、先天的な脳機能の問題によって社会生活に困難が生じる疾患のことです。かつては「本人の努力が足りない」「親のしつけが悪い」などと言われていましたが、現在は医学的に否定されています。発達障害はいわば生まれつきの特性です。定型発達の子どもに比べるとペースはゆっくりですが、発達障害の子どもの心も発達を続けます。症状の改善ばかりに目を向けがちですが、優先すべきは彼らの心です。1歳半の息子さんが発達障害と診断された家族のリアルを、公認心理師・言語聴覚士の湯汲英史氏監修の『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』(日本文芸社刊)から紹介します。併せて公認心理師からのアドバイスも掲載しました。
家族から見た「発達障害」
1歳半で診断された息子
私の息子が発達障害だとわかったのは1歳半くらいのときでした。きっかけは乳幼児検診の最中に保健師さんから言われた「耳が聞こえていないのでは?」という言葉です。たしかに、上の長女は生後9カ月くらいから話し始めていたのに比べると遅いのかな? とは思っていたのですが、この時点ではさほど気にしていませんでした。
しかし、同じ年齢の子どもたちが話す姿を見るうち次第に不安に思い、近所の耳鼻科に相談したところ、大きな病院を紹介してもらい検査することになったのです。そこでの検査はかなり大規模なもので、聴覚をはじめ、脳波などいろいろな検査したところ、耳や脳に異常なところはないと診断されます。そこから小児心理科に通され病名が判明することになりました。
正直なところ、「発達障害の可能性があります」と診断されたときは青天の霹靂でした。なぜなら発達障害というのはどういうものなのか、治療法についてもよくわかっていなかったからです。