人工衛星の故障と異常兆候を
AIが解析して早期に検知

 人工衛星の状態監視に用いられるのが、衛星上で取得された電力、姿勢、通信状態、機器の健康状態などのテレメトリデータだ。数千種類に及ぶデータは人間ではチェックしきれないため、装置がモニタリングして異常時にアラートを出す仕組みとなっており、健全性評価に時間がかかる。そこでテレメトリデータをAIが解析することで人工衛星の故障と異常兆候を早期に検知しようというのが今回の取り組みだ。

 静止衛星は太陽電池パネルを含めて全長約25メートル、新幹線車両1両の全長と等しい。調達・打ち上げコストは1機200億~300億円で、寿命は15年程度とされている(ちなみに新幹線は1編成約50億円、寿命は13~20年程度だ)。

 打ち上げ失敗に備えた保険制度があるとはいえ、衛星が計画通りに機能しなければ事業への影響は大きい。そこで衛星には複数系統の機器を搭載し、故障時は系統を切り替えて運用を継続することができる。故障予測AIは管理コストの削減とともに事業継続性の観点からも非常に重要なのである。