故障データが豊富な自動改札機とは
異なる人工衛星の故障予測AIの開発

 開発を担当するJR西日本デジタルソリューション本部データアナリティクス分析担当の上田将人さんによれば、自動改札機の故障予測AIは故障データという「正解」が豊富なので、どのような状態であれば故障につながりやすいか「教師あり学習」が可能だが、人工衛星は故障事例が少ないため、「正解」を与えずにテレメントリデータから故障傾向を学習する「教師なし学習」を行ったという。

 また自動改札機などの駅務機器はメーカーを絞り、十年程度の周期で集中的に更新することが多いが、スカパーJSATが運用中の人工衛星は、スペース・システムス・ローラル、ロッキード・マーチン、ボーイング、オービタル・サイエンシズ、三菱電機の5社が、2007年から2020年にかけて製造したものが入り混じる。

 衛星の構造やテレメントリデータの形式はメーカーによって異なるが、それぞれに専用AIを開発するのではコスト削減効果が薄れてしまうため、どのメーカーの衛星にも対応可能な汎用性を持たせる必要があるのだ。