AIモデルを実証するために
加わったスカパーJSAT
こうして開発された複数のAIモデルを、実際の商用衛星で実証するために加わったのがスカパーJSATだ。「スカパー」といえばWOWOWと並ぶ衛星放送事業者という印象が強いが、同社の営業収益の約半数、営業利益の8割以上は宇宙事業が稼いでいる。
JSATの前身である日本通信衛星、サテライトジャパンと宇宙通信は、1985年の通信自由化を背景に成立した民間衛星通信事業者で、1989年に打ち上げられた日本初の民間通信衛星「JCSAT-1」を皮切りに累計30機以上の衛星を運用してきた。
人工衛星の借り主だったスカイパーフェクト・コミュニケーションズ(スカパー)と、貸し主だったJSAT、宇宙通信は、事業の効率化とさらなる領域の拡大を目指し、2008年に3社合併してスカパーJSATが誕生した。現在、北米からインド洋まで17機の人工衛星を保有している。
しかしJR西日本のAIをそのまま人工衛星に適用することはできない。というのも現場に駆けつけて修理できる自動改札機と、上空3万6000キロの宇宙空間を回り続ける静止衛星では条件が全く異なるからだ。