狂乱バブル ホテル大戦争#30Photo:PIXTA

国は2025年度末までに、自治体の20の業務をつかさどるITシステムの標準化を進めている。ダイヤモンド編集部の情報公開請求でそれらが大きく遅延している内幕が明らかになった。どの自治体がどのくらい遅れているのかエリア別のランキングをお届けする。特集『DX180社図鑑』(全31回)の#30は九州・沖縄編。ビーチリゾートとして有名な市や町が多数ランクインした。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

32の自治体が全ての対象システムで
予算要求ができていなかった

 全国の自治体が直面する「システム標準化プロジェクト」。ダイヤモンド編集部の情報公開請求により、その遅延ぶりがあからさまになった。今回は九州・沖縄編をお届けしよう。

 国が全国の自治体で同時に進めている、自治体業務システムの標準化。市区町村で現在バラバラのITシステムを標準化し、さらにこれをクラウド化することで効率化を図るという方針の下、まずは戸籍や税関連など基幹となる20の業務システムを標準化する。その後、政府指定のガバメントクラウド(ガバクラ)に乗り換えるというプロジェクトだ。デジタル庁が旗を振る中、約1700の市区町村が一斉に動く、いまだかつてない一大プロジェクトである。

 2026年3月の移行を目指し、現在佳境にさしかかっている標準化作業だが、ベンダーや自治体関係者に取材を重ねると、のっぴきならない状況が見えてきた。ダイヤモンド編集部は標準化プロセスの進捗状況について、プロジェクトの進捗を管理している総務省に情報公開請求を行った。そこから見えてきたのは、1741市区町村が持つ総数3万4820システムで進められる標準化作業が、大幅に遅延している状況である。

 その情報公開請求の中身を、本特集#11『【独自】自治体ITシステムの標準化「スケジュール通りは3割だけ」の衝撃!情報公開請求で分かった大遅延』に続き、地域別で詳細に紹介していこう。

 今回は九州・沖縄編だ。214の自治体が対象だが、標準化の対象となっているシステム全てで予算要求ができていない自治体は32市町村にも上っている。詳細なランキングを次ページから見てみよう。