国は2025年度末までに、自治体の20の業務をつかさどるITシステムの標準化を進めている。ダイヤモンド編集部の情報公開請求でそれらが大きく遅延している内幕が明らかになった。どの自治体がどのくらい遅れているのかエリア別のランキングをお届けする。特集『DX180社図鑑』(全31回)の#24は首都圏編(配信済みの東京都を除く)。有名な古都や房総半島の観光地、埼玉の著名なベッドタウンが遅延ランキングの首位に入っている。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
神奈川・千葉・埼玉の大規模自治体でも
大きな遅延が目立つ状態にある
2026年3月の移行を目指し、現在佳境に差し掛かっている自治体システムの標準化プロジェクト。全国的に遅延が報告されているが、今回はその首都圏編のランキングをお届けしよう。
問題となっている自治体システム標準化プロジェクトとは、全国の市区町村で現在バラバラのITシステムを標準化し、さらにこれをクラウド化することで効率化を図るというもの。まずは戸籍や税関連など基幹となる20の業務システムを標準化。その後、政府指定のガバメントクラウドに乗り換えるというプロジェクトだ。デジタル庁が旗を振る中、約1700の市区町村が一斉に動いている。だがベンダーや自治体関係者に取材を重ねると、大幅な遅延が免れない状況となっていることが明らかになってきた。
一体何が起こっているのか。ダイヤモンド編集部は標準化プロセスの進捗状況について、プロジェクトの進捗を管理している総務省に情報公開請求を行った。そこから見えてきたのは、1741市区町村が持つ総数3万4820システムで進められる標準化作業が、大幅に遅延している状況である。
すでに本特集#11『【独自】自治体ITシステムの標準化「スケジュール通りは3割だけ」の衝撃!情報公開請求で分かった大遅延』で述べたが、東京都では、予定通りに予算請求が終わっているシステム数は全体の3割しかなかった。さらに自治体ごとに見ていくと、北区、府中市などで標準化の対象となっているシステム全てで予算請求が行われていないという状況が明らかになった。
では、東京都以外の首都圏(神奈川県、千葉県、埼玉県)はどうだろうか?今回は、これら3県の計150市町村での進捗状況を見ていこう。23市町が標準化の対象システムの全てで予算請求ができていないが、中には高級住宅地を抱える歴史の町や、県内のトップクラスの人口を抱える市まで含まれている。