デジタル庁改革では、霞が関のみならず、47都道府県や約1700の市区町村を巻き込んでデジタル化を推進する。そこで、ダイヤモンド編集部では47都道府県に緊急アンケートを実施。「IT人材・IT予算」の多寡で、どの都道府県がデジタル勝者となるのかを炙り出した。また、国が掲げる「システムの標準・共有化」構想は、地方の自治体に思わぬ負担をかけることになりそうだ。特集『ITゼネコンの巣窟 デジタル庁』(全7回)の最終回では、都道府県アンケート結果の詳細と、自治体のシステム標準化を巡る課題に迫る。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
東京都のデジタル人材1000人構想
自治体で加速するDX競争
4月1日、東京都は新たに都庁のデジタル化の先導役となる「デジタルサービス局」を発足させた。クラウドサービスの利用によるペーパーレスなどの推進や、全ての行政手続の原則デジタル化などの先導役であり、都が行政のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けて一気にアクセルを踏んだ格好だ。
都庁のデジタル化を主導するのは、元ヤフー社長の宮坂学副知事。「現在デジタルサービス局の人材は200人弱に過ぎず、シンガポールなど海外の主要都市に大きな後れを取っている。このデジタル人材を1000人にするのが、宮坂さんの”野望”だ」(東京都庁幹部)と言い、東京都はさらなるデジタル化推進に意欲を見せている。
デジタル庁発足に足並みをそろえるように、地方自治体でもデジタル化の動きが加速している。東京都のみならず、新たなデジタル関連部署を立ち上げる自治体の事例はここ最近、枚挙にいとまがない。国よりもむしろ国民に身近な自治体でこそ、行政のデジタル化を求めるニーズが高まっている。
もっとも、一口に自治体といっても、その取り組みにギャップがあるのが実態だ。都道府県知事をはじめとする自治体幹部の方針によっても、力の入れ具合に差が出るものだ。
そこで、ダイヤモンド編集部では、デジタル施策に関する人員や予算、取り組みの内容などについて47都道府県を対象に緊急アンケートを実施。その結果、43都道府県から回答を得た。
以下では、各都道府県の「デジタル人員」「デジタル予算の実額」を一挙公開する。その結果、都道府県のデジタル進捗度には“驚愕の格差”があることが明らかになった。