管理職や上司が、新入社員たちと向き合う姿勢

 新入社員たちの仕事へのモチベーションを維持したまま、一人ひとりの能力を伸ばすために周囲ができることは何か? 内山さんは「仕事の『意味づけ』がなされているかどうかが大切」と言う。

内山 フォロー研修の受講者である新入社員に話を聞くと、目の前の仕事しか見えていない人と、「この仕事は、○○の意味や必要性がある」と理解しながらやっている人がいて、そこには明確な差があります。本人の資質というよりも、職場の上司や先輩の影響が大きいでしょう。

 昨今の新入社員は、主体性があって、自分自身でしっかり考えていきたい人が多いので、こちらから一方的に押し付けるのではなく、仕事に対してどういう考えや目標を持っているのかを聞くことが重要だと思います。そのうえで、「いま行っていることは、□□のスキルを磨くため」と、与えられた仕事が意義のあるものだと理解してもらうのです。つまり、「自分の成長に結びついている」という実感が必要で、本人が自分の長所を発揮し、かつ、その長所を自覚できるようになっていくことが理想です。

研修講師としての内山さんの口調はいつもやさしく、新入社員から好評だ。

 管理職や上司は、サポートすることが不可欠とわかっていても、新入社員とのコミュニケーション方法に悩んでしまうこともあるだろう。内山さんは、まず、「雑談する機会を率先してつくること」と提言する。

内山 私が研修で関わっている企業では、管理職が新入社員とランチしているケースをよく聞きます。夜は退社後なので抵抗がありますが、ランチなら就業時間内ですし、終わりの時間も決まっているので、お互いに話しやすいでしょう。仕事の話がメインでもよいですが、むしろ、雑談のなかから仕事に役立つ情報を得られることも多いです。たとえば、雑談の中で、プロ野球好きな部下がひいきチームの成績を緻密に分析していることを上司が知り、データ分析の仕事を与えることにしたというエピソードもあります。雑談から、その人の持ち味を発見できるケースが往々にしてあるのです。