私はお礼を伝えて電話を切ったが、しばし、呆然……。以前の義母であれば考えられないことだ。いや、ありふれた菌だし、高齢で抵抗力も弱っているだろうし、仕方がないといえば仕方がないことなのだろう。ただ、繰り返すようだが、以前の義母であれば想像できない状況だ。

 今現在の義母は介助なしでは入浴ができない。そんな状況では、白癬菌に感染することも、そりゃ当然考えられるわけで……。こういう時はどうしたらいいのだろう。

 もちろん、病院に連れて行くことは必須だが、それ以降はどうする?どうやって清潔な状態を保ってあげられるのだろう?在宅勤務中で目の前にいた夫に伝えると、夫も絶句だった。きっと私と考えていることは同じだっただろう。あれだけ清潔好きな義母だったので、夫からしても寝耳に水というか、なんというか……。

「それは可哀想やな。ちょっと様子を見に行こう」と夫は覇気ゼロで言った。連絡があったのは金曜の夕方のことで、皮膚科は診療時間外。とにかく週末だなと言い合って、夫と私で翌日の土曜の昼に、義母の様子を見に行った。