いつも、買いすぎじゃないかというぐらいたくさん食品を買って、どっさりわが家に持ってきてくれた。大盤振る舞いが大好きだった。

 その彼女が、おせんべいの袋をひとつ手にして店の出口にいたということを考えると、私はやはり、とても寂しい気持ちになるのだった。ごめんね、お義母さん。私が一緒にいてあげられたらよかったのに。自宅で翻訳してたわ。

 帰宅した夫がしんみりとこの話をするので、ずいぶん気の毒になった。「そういうことってあるよ。きっと、日本中で同じようなことが起きてるよ。お店の人だって、お義母さんの様子を見たら、きっとわかってくれたよ。未然に防ぐことができてよかったね。で、その問題のおせんべいは買ってあげたん?」と聞くと、「あ、忘れた」と答えるではないか。おいおい、そこ大事!

 夫が介護に参加しはじめたことで、義理の両親にとっては、昔の家族の形態が戻って来たような気持ちかもしれない。すべては同じようにはいかないけれど、それでも、昔のように仲良く暮らしていけたらいい。

 義母はすっかり子どものようになってしまったが、ずいぶん大切に育ててもらったのだから、夫はこれからが恩返しの時間だ。今回のアクシデントからは学ぶことがたくさんあった。夫にはこの先もがんばってほしいと思う。私も適当にがんばる。