(1)一人称で語る

 会話の主語はすべて「I」もしくは「We」で話します。人から聞いた話とか、世間の噂という話し方はまず信用されません。相手に対するコミットメントの強い意思表示として、一人称で語ることが求められるのです。

 さらに、それが口だけでなく、自分や自分たちにproven track record(実績)があることが大前提となります。威勢だけでも、根性でやりますみたいなものも当然ながら通用しません。この辺は日本人同士の交渉で、勢いが有利みたいなところがあるからか、日本人が使いたがりますが厳禁です。もちろん、「声が大きい」も関係がありません。

 一人称で語る私の実力や実績が評価基準として求められているのです。これだけの数字を達成したいと主張したら、すかさず「どうやってそれを実現するのか?」「その方法で実績があるのか?」と問い返されます。そこでアピールできる実績がなければ、どれだけ「頑張ります!」と言っても難しいのです。

(2)一人で決められる判断力と知識を持つ

 日本人はぞろぞろと部下を連れて交渉の場に出向きます。役職が高く立場的に決断できる人なのに、自分では答えられない、周りに意見を聞かないと判断できない、自分だけ恥をかきたくないという人が非常に多いのです。

 部下をぞろぞろ連れて交渉の場に現れるのは、世界でも日本人だけだと思ってください。これは逆の立場で考えれば、相手への信頼は一気に落ちるとわかるはずです。リーダーはすべてを掌握していて、その場で即答できなければ尊敬も得られず、交渉がうまくいくはずもありません。

 普段から自分で決断するつもりで仕事をしていないと、にわかづくりでは交渉の場で通じないのです。相手より少ない人数で交渉に臨む、これは外国人相手の交渉の基本です。