「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。現在1万5000人が実践中。「久しぶりにぐっすり眠れた!」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された!」「健康的にダイエットできた!」と絶賛の声が続々。「3分以内でできる悩み解決ワーク」を集めた著書『すぐできる自力整体』も好評。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。今回は、『すぐできる自力整体』から、痛みやコリがラクになる自力整体をお届けします。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)

【整体プロが指南】あちこち痛いのは老化のはじまり? 若返る「夜から朝までの習慣」

あちこち痛いのは老化現象ではなく「内臓の疲労」かも?

「夜、足腰が痛くて眠れません……」
「朝おきると、腰がはって痛い……」
「治療院に通っているが、数日後に痛みをぶり返す……」
「あちこち痛い、これって老化のはじまり?……」

そのようにおっしゃる生徒さんに日々の食生活をうかがうと、食べすぎ、飲みすぎ、間食グセ、夜おそい時間に食事をとるなどの答えがかえってきます。
要するに、加齢によるものではなく、内臓の疲れが痛みとなり、体に表れているのです。

東洋医学では、痛みをぶりかえす場合、胃腸の疲れによる「経絡(けいらく)」の流れの停滞を考えます。経絡とは、「気」が流れる川のようなもの。全身に約12本存在します。

現代医学の場合「痛みは痛みが出た部位だけの問題」として処置をするのがほとんどですが、東洋医学では「痛みは内臓の虚弱を表している」と考え、胃腸の疲れを取り除くことも痛みの解決につながるとしています。

たとえば胃のはたらきが低下すると、12本の経絡の1つ、「胃経(いけい)」が通っている関節や筋肉が痛みます。前頭部、口、肩、ひざなどに痛みや不調が現れやすくなります。
これは胃腸の疲れが、「胃経」に影響するからです。

夜から朝までの食事習慣を変えてみて

自力整体では、なかなか痛みがおさまらない方、つらい慢性痛に苦しむ方には、内臓の休息時間を増やす「整食法」をすすめています。

この食事法は、痛みや不調を解消するほかに、熟睡、代謝アップ、便秘解消。太りすぎ、やせすぎの人は健康的な適正体重になります

整食法
(1) 夕食はなるべく寝る3時間前までに終わらせ空腹で寝る
(2) 朝食は固形物を控え、飲み物・スープ・おかゆなど(ランチや夕食は自由)

ちなみに(2)の朝食については、とくに今なんらかの痛みや体調不良に苦しむ人におすすめしています。

この「整食法」を3日ほど続けると、内臓疲労は回復し、足腰の痛みは驚くほど和らぎます

並行して『すぐできる自力整体』で紹介している「あおむけで骨盤調整20分コース」で下肢の経絡の「気」のめぐりをよくすると、慢性痛はよりラクになり、若さも取り戻せます。

次ページで、そのコースの一部「股関節ほぐし」のワークを紹介しましょう。

【整体プロが指南】あちこち痛いのは老化のはじまり? 若返る「夜から朝までの習慣」矢上 真理恵(やがみ・まりえ)写真左
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗