これに対して、腕と足を広げた「大の字」型なら、深部体温を手先と足先から逃がしやすい。熱を放出しやすいように、手のひらは上に向けるほうがいいだろう。一般的にいって、この大の字スタイルで寝るのが最も快眠につながりそうだ。

 ただし、仰向けに寝ると、人によっては舌の筋肉がゆるんで気道に落ち込み、呼吸しづらくなる。横向きになれば、気道は十分確保できるので、眠りを妨げることはない。とくにいびきをよくかく人は、横向きで寝たほうが熟睡できるとされる。

朝に牛乳を飲んで
「睡眠ホルモン」メラトニンを分泌させる

 毎朝、コップ1杯の牛乳をゴクゴク飲む。骨を強くしたい人はカルシウム補給のため、よく眠りたい人ならトリプトファンという成分を摂取したいのだろう。

 トリプトファンは体内では合成できず、食事で摂取しなければいけない必須アミノ酸の一種。腸で吸収されたのち、脳に送られてセロトニンの材料になる。セロトニンは夜になるとメラトニンに変換され、その働きによって眠気を覚えて、すみやかに寝つくことができる。

 食べものから摂取されたトリプトファンは、メラトニンに変わるまでに14~16時間かかる。この仕組みから、ぐっすり眠るためには、朝のうちにトリプトファンの豊富な食品を取ることが大切なのだ。

 1日にトリプトファンがどれほど必要かというと、体重1kg当たり4mgとされている。たとえば体重が60kgの人なら、毎日240mgを摂取したい。

 トリプトファンはさまざまな食品に含まれている。なかでも、手軽に摂ることができるのが牛乳で、コップ1杯(200L)を飲むだけで、1日の必要量の3分の1ほどを摂取できる。毎朝の習慣にすれば、夜が更けるにつれて、自然と眠気が湧いてくるようになりそうだ。

 1日の必要量の残り3分の2は、ほかの食品から摂ればいい。基本的にたんぱく質が豊富な食品にはトリプトファンも多い。チーズやヨーグルトなどの乳製品、レバーや肉、カツオやマグロ赤身、卵、大豆製品などに多く含まれている。