これって、ものすごくすてきなことなのでは?

 むしろこっちのほうが、ハリウッドで扱われるべきなんじゃないだろうか。

 私はリズのことを、そんなふうに思っている。

30歳年上の女友達と
巡りあった場所とは

 リズと知り合ったのは、週1回の陶芸教室だった。私みたいなミレニアル世代が、疑うことを知らないベビーブーム世代の人と知り合うために、恰好のシチュエーション。陶芸教室は、私にとって幸せに浸れる場所だ。ゴミ捨てのことだとか世界情勢のことだとかを考える必要がなく、ただひたすら、粘土に集中していればいい。

 通い始めてから6年間、私は友達づくりをしなかった。誰かと話したいとさえ思わないことが多かった。

 言葉を交わしたら、仕事のことを尋ねられそうな気がしたから。仕事から解放されてリラックスするために通っている教室なのに。

 そういうわけで、しばらくはリズと話す機会がまったくなかった。ずっと同じテーブルで作業してたのに。リズはもしかしたら、すぐやめてしまう気まぐれな娘がまた入ってきた、と思っていたかもしれない。

 私のほうは、大人すぎて私なんかと話したがらない人だと思っていたのかもしれない。野暮ったい私の器と違って素晴らしい出来栄えのリズの作品を、もの欲しそうに横目で眺めながら。