私にとって、年齢差はうれしいおまけみたいなものだった。リズは私の同年代の仲間たちと同じくらい流行に敏感で、お行儀の悪い言葉をよく使う人だった。初めて「ファック」とリズが言ったのを聞いたときは、心のなかで花火がぽんと打ち上がったくらいだ。

 そしてリズは、人生でこんなことができるのだと、私にいくつも教えてくれた。どんなものを割り振られようとも、自分が望む人生を送ることはできる。元気で忙しく暮らしていくことはできる。創造力を発揮することはできる。何歳だって新しい友達はつくれる。そして、陶芸では、下絵の具を使ったら正しい窯に入れないと器が割れてしまう。

 新型コロナウイルスの世界的大流行中にロックダウンされていた時期は、リズとのドライブが恋しくなった。リズの暮らしぶりや、ロックンロール魂あふれる話を聞きたくなった。

 そのお返しに、私からはワイルドに過ごした夜のあれやこれやを話したものだった、と書ければいいのだけれど、私が一番好きな夜の過ごしかたは、BBCラジオの番組『The Archers』を聴きつつ、〈ブリストルクリーム〉という〈ハーベイ〉のワインを一杯やりながらお風呂に入ること。若くておしゃれな友達ができたとリズが思っていたのだとしたら、がっかりさせてしまったはずだ。