ICTを駆使した「スマートオフィスナビゲーター」

 一般的に、フリーアドレスは、メリットとデメリットが背中合わせのようだ。広いオフィスでは、誰がどこにいるのかがわかりづらく、せっかく出社しても、目当ての人と顔合わせができないまま退社するケースもあるだろう。結果、従業員間のコミュニケーションが減ってしまうことも想定される。

村田 デメリットを減らすために、内田洋行が推奨しているのが、ICTを駆使した「スマートオフィスナビゲーター」の導入です。「スマートオフィスナビゲーター」は、従業員のPCやスマートフォンを結び、オフィスのどこに誰がいるのかを瞬時に把握することができます。また、相手が対面での会議中なのか、オンラインでの会議中なのか、どのような予定が入っているのかといったこともわかり、ボタン1つでチャット会話を始めることもできます。さらに、「スマートルームズ」という会議室予約・運用システムを利用すれば、会議室の空き状況の確認や予約も遠隔で行うことができます。これらは、私たちが10年以上前から提供しているサービスで、すでに600社、18,000室以上にご利用いただくトップブランドとなりました。

 オフィス×ICTが従業員間のコミュニケーションをスムーズにする一方で、個人情報の保護や、“管理されている感覚”に嫌悪感を持つ従業員への対応など、企業側が慎重に考えなければならないこともある。

村田 「スマートオフィスナビゲーター」は、会社で支給しているPCとスマートフォン限定で、個人所有の機器は管理しません。また、社外にいる従業員の居場所は把握できないようになっていて、社内でもトイレの中などは表示できないように設定できます。情報をどこまでオープンにするか――その意思確認を書面でしっかり行っている企業もあります。また、さまざまな国籍の人が働くグローバル企業の場合は、国によって個人情報保護の度合が異なるため、たとえば、GDPR(EU一般データ保護規則)の基準に則って暗号化するシステムを使うケースも見られます。